ロルフィングの筋膜リリース~圧迫刺激と伸張刺激~

ロルフィングにおける筋膜リリースは、身体全体の構造的なバランスを整えることを目的とした深層部の組織へのアプローチです。その手法は多岐にわたりますが、ここでは特に肘などを使った圧迫刺激と伸張刺激について詳しく解説します。

圧迫刺激と伸張刺激の目的

  • 筋膜の癒着の剥離: 長年の姿勢の悪さや運動不足によって、筋膜は他の組織と癒着しやすくなります。肘による圧迫刺激は、この癒着を剥がすことで、組織の滑りを改善し、柔軟性を高めます。
  • 深層部の筋緊張の緩和: 圧迫刺激は、深層部の筋肉に直接働きかけ、緊張を緩和します。
  • 身体の歪みの矯正: 身体の歪みは、筋膜の癒着や筋肉の緊張と深く関わっています。伸張刺激は、この歪みを矯正し、身体全体のバランスを整えます。

筋膜リリースの具体的な施術方法

  1. 圧迫刺激:
    • 主に肘を使って、直接、癒着している部位に圧力を加えます。
    • 圧力の強さや方向は、施術者の経験とクライアントの反応によって調整されます。
    • 深層部の組織にアプローチするため、ある程度の強さの圧力が加えられることがあります。
  2. 伸張刺激:
    • 癒着している部位をゆっくりと伸ばすことで、筋膜を滑らせます。
    • 肘だけでなく、身体全体を使って、クライアントの身体をゆっくりと動かし、伸張を加えます。
    • 痛みを感じさせない範囲で、徐々に伸張の強度を上げていきます。

施術を受ける際の感覚

  • 痛みを伴う施術ではありません: ロルフィングは、痛みを伴う施術ではありません。施術は心地よい感覚、効く感覚がでます。
  • 深層部へのアプローチ: 表層的なマッサージとは異なり、深層部の組織にアプローチするため、施術後には若干筋肉痛のような症状が出る場合もありますがそのような症状が出そうであれば、事前にお伝えします。

ロルフィングにおける筋膜リリース(圧迫刺激と伸張刺激)は、深層部の組織に働きかけ、身体全体のバランスを整えるための重要な手法です。施術を受ける際は、信頼できるセラピストを選び、自分の身体と向き合う時間を持ちましょう。

筋膜リリースの生理学的機序

筋膜リリースは、近年注目されている身体のケア方法の一つです。単に筋肉の緊張を和らげるだけでなく、身体全体の機能改善に繋がるとされています。その効果には、水分量、固有受容器、コラーゲン、筋緊張、運動制御、代償、動作パターンなど、様々な生理学的機序が関わっています。

筋膜リリースがもたらす生理学的変化

1. 水分量の増加と組織の滑走性の向上

  • 筋膜の水分量増加: 筋膜リリースにより、筋膜組織への血流が改善され、水分量が増加します。水分は、組織間の摩擦を減らし、滑走性を高める潤滑剤のような役割を果たします。
  • 組織間の癒着の減少: 慢性的な緊張や運動不足によって、筋膜と他の組織が癒着していることがあります。筋膜リリースは、この癒着を剥がすことで、組織間の滑りを改善し、柔軟性を高めます。

2. 固有受容器の活性化と神経系の調整

  • 固有受容器の刺激: 筋膜には、身体の位置や動きを感知する固有受容器が豊富に分布しています。筋膜リリースは、これらの受容体を刺激し、脳への情報伝達を促します。
  • 神経系の調整: 脳は、固有受容器からの情報に基づいて、身体の動きを制御します。筋膜リリースによる刺激は、神経系のバランスを整え、運動制御を改善します。

3. コラーゲン構造の再編成

  • コラーゲンの配列: 筋膜は、コラーゲンと呼ばれるタンパク質繊維が網目状に組み合わさって構成されています。慢性的なストレスや運動不足により、コラーゲンの配列が乱れることがあります。
  • コラーゲンの再編成: 筋膜リリースは、乱れたコラーゲンの配列を再編成し、組織の弾力性を回復させます。

4. 筋緊張の緩和と疼痛の軽減

  • 筋紡錘の抑制: 筋紡錘は、筋肉の長さを感知するセンサーです。筋膜リリースは、筋紡錘の過剰な活動を抑制し、筋肉の緊張を緩和します。
  • 痛みの伝達経路の遮断: 痛みは、神経系を介して脳に伝達されます。筋膜リリースは、痛みの信号が脳に伝わるのを妨げることで、疼痛を軽減します。

5. 運動制御の改善と代償パターンの解消

  • 運動パターン: 慢性的な痛みや不調を抱えている人は、痛みを回避するために、無意識に身体の使い方を変えてしまうことがあります。これを代償パターンといいます。
  • 代償パターンの解消: 筋膜リリースは、身体のバランスを整え、運動パターンを改善することで、代償パターンを解消します。

まとめ

筋膜リリースは、単に筋肉の緊張を和らげるだけでなく、身体全体の機能を改善する多角的なアプローチです。水分量の増加、固有受容器の活性化、コラーゲン構造の再編成、神経系の調整など、様々な生理学的機序が働いて、痛みや不調の改善、そして身体のパフォーマンス向上に繋がります。

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