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ロルフィングの目的

ロルフィングの生理学-ロルフィングの目的と効果

●ロルフィングの目的-筋筋膜性疼痛症候群の改善

体の凝りや痛み、それらの症状は、整形外科診断名としては、「筋筋膜性疼痛症候群」としてまとめられています。

レントゲンやMRIなどの画像診断上問題がないにも関わらず、痛みや凝りなどの不快感を生じている状態です。

「筋筋膜」とは、筋肉や筋膜、靭帯、腱、関節包などの軟部組織と呼ばれる体の組織を繋ぎ合わせている構造物全体を指しています。

筋筋膜性疼痛症候群は、軟部組織の機能異常によって起こる障害です。

ロルフィングの目的は、筋膜組織を含めた軟部組織の機能異常が改善させ、「筋筋膜性疼痛症候群」を改善させる事と言えます。

※米国ロルフィング協会的には、「ロルフィングは医療ではないので、症状を改善させるものではない」と提唱していますが、それは法律に触れない為で合って、本来の目的は、「筋筋膜性疼痛症候群」を引き起こす「軟部組織」の改善です。

●ロルフィングが筋膜を重要視する理由-筋膜組織に受容器が豊富に存在する為

私たちは、目をつぶっていてもどこに自分の手や足があるか、どのような姿勢をとっているのかを感じることが出来ます。

それは、筋膜をはじめとした軟部組織に存在する「固有受容器」と脳に存在する「体の地図帳-身体図式」のお陰です。

固有受容器からの情報が脳に伝達され、側頭葉の一次体性感覚野に存在する「身体図式」で統合され、身体の位置や状態を感じることが出来ています。

筋膜には多くの固有受容器が存在し、同時に痛みの受容器も存在します。

私たちが日々何気に行っている動作や姿勢は筋膜‐固有受容器からの情報を元に形成される「身体図式」がベースです。

筋膜‐固有受容器の機能が低下すると、脳は正しい情報が入らない状態で、動作プログラムを作成します。

それによって、望ましくない動作、姿勢、筋の緊張(凝り)が私たちの意思とは関係なく形成されてゆきます。

筋肉の緊張(凝り)は酸欠状態を意味し、組織はSOSサインとして、発痛物質を生成します。

それが、筋筋膜性疼痛症候群に発展します。

つまり、筋肉や筋膜の硬さが固有受容器と身体図式の機能を低下させ、痛みや凝り感、不快感を生じさせます。

その為、ロルフィングは筋膜に対するアプローチを重要視しているのです。

●ロルフィングが姿勢を重要視する理由-筋-筋膜‐固有受容器の質=姿勢

「姿勢」は、全身の筋膜‐固有受容器から得られる情報によって、脳で統合され、無意識的に形成されます。

筋膜の固有受容器からの情報が適切な場合は、「楽で美しい姿勢」に自然となります。

逆に、筋肉や筋膜が硬い状態(軟部組織の機能異常)によって、固有受容器からの情報が低下すると、無意識的に「猫背」などの「不良姿勢」となります。

ロルフィングは「筋筋膜性疼痛症候群」の改善が目的であり、筋筋膜性疼痛症候群は、「軟部組織の硬さ」によって生じます。つまり、「筋膜などの軟部組織の状態=固有受容器の質=姿勢の質」と言えるのです。

その為、ロルフィングでは、軟部組織の状態を把握する一つとして「姿勢」を重要視します。

また、骨格のポジションが中心に位置するとき、軟部組織-固有受容器からの情報が最良となります。

「無理なく姿勢が良い」時は、軟部組織の状態も良くなり、結果として「筋筋膜性疼痛症候群」を予防することが出来ます。

軟部組織-固有受容器の問題がある場合は、無理に背中に力を入れたりして、背骨を立たせようとしても、「やりたくても出来ない状態」なので、過剰な緊張を生み、症状を悪化させます。

その為、ロルフィングでは、「無理なく姿勢が良い感覚」を再取得していきます。

●ロルフィングがインナーマッスルを重要視する理由-凝りやすい=インナーマッスル機能低下状態

インナーマッスル(インナーユニット/コアとも呼ばれます)は、『呼吸筋である横隔膜』、『お尻の部分の骨盤底筋』、『コルセットの役割を担う腹横筋』、『背骨の位置情報を伝え安定させる多裂筋』の4つで形成され、円柱型の空間を形成します。

4つの筋肉は相互に依存し、どれか一つの機能が低下すると他の筋肉も同時に機能低下するという特徴を持ちます。

イメージとしては、マヨネーズの入れ物です。キャップが閉まっているときは空気の圧力に支えられ硬くなりますが、キャップが開いているとマヨネーズが外に出ます。

4つの筋肉から形成されるインナーマッスルの機能は大きく2つあり、一つが動作の前に先行的に働き、体幹を安定させ、効率的な動作を助ける事です。

インナーマッスルが作用していない状態では、関節を動かす筋肉に過剰な命令が伝達され、過剰活動状態となり、筋肉の過剰な緊張を生みます。

筋肉の過剰活動状態は、エネルギー不足(酸欠)状態を形成し、硬さを形成すると共に、発痛物質を生成する可能性があります。

インナーマッスルのもう一つの作用は、腹腔内圧という圧力空間を形成することで、腰椎椎間板や背中の筋肉の負担を大幅に軽減させます。

この腹腔内圧が機能していない状態でも、腰や背中の筋肉が体を安定させようと過剰活動状態となり、結果として凝りが形成されやすくなります。

インナーマッスルの機能は姿勢に依存します。姿勢は全身の筋膜‐固有受容器からの情報の結果です。

筋肉や筋膜が硬く、固有受容器が機能低下していると、姿勢が崩壊し、結果としてインナーマッスルが抑制され、先行動作と腹腔内圧という身体を安定させる作用が低下してしまいます。

その結果、凝りが形成されやすい状態の悪循環から抜け出せなくなるのです。

相互作用を持つインナーマッスルの中でも機能低下しやすい筋は、呼吸筋である横隔膜です。

●ロルフィングが呼吸を重要視する理由-呼吸機能=インナーマッスル=姿勢

横隔膜は呼吸のメインであると共に、「腹腔内圧」と「先行動作」という「体の安定性」に対して重要な機能を司る『インナーマッスル』でもあります。

呼吸は横隔膜の機能に依存し、横隔膜の機能は、肋骨や胸椎から形成される「胸郭」に付着する筋膜‐固有受容器の質(筋-筋膜の硬さ)によって決定されます。

肋骨部や背中、胸などの筋-筋膜が硬い状態だと、横隔膜の機能が抑制され、「呼吸が最後まで吸えない状態-詰まる感覚」が出ます。

逆に、「深く吸える状態」は、横隔膜がしっかりと収縮できる事を示し、胸郭の筋‐筋膜の状態が良い事を意味します。

「深く吸えない状態」「胸郭まわりの筋-筋膜が硬い状態」だと、背中が丸くなり「猫背」の状態となります。

猫背の状態は、横隔膜(インナーマッスル)の収縮制限とインナーマッスル全体の機能低下を意味し、凝りやすい状態と言えます。

姿勢‐インナーマッスル‐呼吸は相互に強く依存します。

どれか一つが機能低下する事で他二つの機能が低下し、どれか一つが向上/改善すると、他2つが改善されます。

機能低下が起こりやすいこの身体をコントロールする為に、様々な角度からのアプローチが生理学的にも重要です。

その為、ロルフィングでは、「姿勢‐コア‐呼吸」の3つをベースとして改善させていくアプローチを取っています。

その介入口が「筋-筋膜‐固有受容器」です。

●ロルフィングが「歩き方」を重要視する理由と効果継続の理由-動くことによって安定する‐「動的平衡」

人の身体は硬くなりやすい特徴を持ちます。

と言うより、動かない事が多くなると、筋筋膜が硬くなります。。

「動かない」とは、「座位姿勢が長時間続く」と言った単純なものから、「ある一部分を動かすことが出来なくなる状態」も指します。

特に動かなくなりやすい部位は、「胸椎」です。

「ロルフィングが呼吸を重要視する理由」でも触れたように、肋骨と胸椎の硬さは呼吸機能を担う、インナーマッスルの横隔膜の機能障害を生み、同時に背骨に付着する「背骨の位置情報と安定性を担う‐多裂筋」の機能も低下させます。

胸椎が動かなくなり、硬くなると、結果的に「猫背」になります。

「猫背」は不良姿勢を意味し、同時に『インナーマッスルの機能低下』『呼吸機能低下』『凝りやすい体』『筋筋膜性疼痛症候群が起こりやすい体』を意味すると学びましたね。

当店が「猫背改善」を掲げる理由は、それが理由です。

そういった、動かない事で「筋-筋膜固有受容器」への刺激量と質が低下し、脳ではどこに何があるのかといった位置情報が認識しづらくなります。

位置情報が低下した部位は、動作に動員されづらくなり、他の部位が庇います。そのことを代償動作と呼びます。

位置情報が低下した部位は、使われづらくなることによって、さらに「筋-筋膜固有受容器」への刺激量と質が低下するという悪循環に陥ります。

そして他の部位が過剰活動となります。

多くの場合、過剰活動部位-犠牲者は「首/肩/背中/腰/膝」です。

ロルフィングでは、その動かなくなりやすい部位に、「歩く事」によって「筋-筋膜‐固有受容器」に刺激を入れ、機能低下の対処をしようと考えています。

アメリカの「エビデンスベースドフィットネスアカデミーⓇ」でも、「歩く事が最も機能的な運動である」と提唱しています。

ロルフィングでは、特に、機能低下しやすい股関節や胸椎を意識して歩くことを推奨しています。

他にも視覚の使い方や意識を用いて、凝りにくい体を作る為の理想的な「歩き方」を習得します。

それら感覚は、日常の中で失われている事が多く、伝えてもすぐにできる方はまれです。「失われた感覚」を一人で取り戻すのは至難の業です。

普段から運動している方、痛みや凝りが無い方は簡単にわかります。

「股関節や胸椎に刺激を入れる歩行」によって、動かなくなりやすい部位の「筋-筋膜‐固有受容器」へ刺激が入ります。

「動く感覚」が再取得されることで、「姿勢の改善」「呼吸の改善」「インナーマッスルの改善」等に繋がり、「凝りづらい体」「筋筋膜性疼痛症候群が起こりづらい体」が手に入ります。

動物の身体は人に限らず、動く事によって情報が脳に伝達され、身体図式がアップデートされます。アップデートされなくなると、適切な命令が出せなくなり、障害が現れます。

動くことによって安定することを「動的平衡」と言います。

ロルフィングは、動的な平衡状態-安定性を目指すものです。

●ロルフィングが10回終了後も継続する理由-「失われた感覚」の再獲得&「固有受容器」への入力

「失われた感覚」は「歩行」のみならず、「呼吸感覚」や「インナーマッスル活性感覚」、「理想姿勢感覚」などでも同様です。

そういった「姿勢‐コア‐呼吸-歩行」などの「失われた感覚」を取り戻し、日常的に行う事で、筋-筋膜-固有受容器に刺激が入ります。

その為、常に身体図式が良好な状態となり、凝りが起こりづらい体となってゆきます。

最後にもう一度、凝りや痛み、不快感などの「筋筋膜性疼痛小症候群」は、「筋-筋膜‐固有受容器」への刺激が減少することによって起こる機能低下が原因です。

「筋-筋膜‐固有受容器」への適切な刺激を与える為に、ロルフィング10シリーズを通して「失われた感覚」を取り戻し、日常的に「筋-筋膜‐固有受容器」に対して刺激を入れる事で、凝りやすい体から脱却出来ます。

それらの感覚は一生ものです。その為ロルフィングは、「効果が継続する」と謳っているのです。

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