肩関節の解剖学的な特徴と疾患の関係
肩関節は、肩甲骨、上腕骨、鎖骨から構成され、これらの骨が関節包や靭帯、筋肉によって連結されています。この複雑な構造が、様々な方向への動きを可能にする一方で、外傷や繰り返しの動作による損傷を受けやすいという特徴も持っています。
主な疾患と解剖学的な原因
- 肩関節周囲炎(五十肩)
- 原因: 明確な原因は解明されていませんが、関節包の炎症や癒着が考えられています。加齢に伴う組織の変性も影響していると考えられています。
- 解剖学的な関連: 関節包、滑液包の炎症が主な原因です。
- 肩峰下インピンジメント症候群
- 原因: 肩を上げる動作を繰り返すことで、上腕骨頭が肩峰と腱板の間で挟まれ、腱板が損傷します。
- 解剖学的な関連: 肩峰、上腕骨頭、腱板の構造的な異常や、繰り返しの動作による摩擦が原因です。
- 腱板断裂
- 原因: 繰り返しの肩の使いすぎ、外傷などが原因で、腱板が部分的または完全に断裂します。
- 解剖学的な関連: 腱板は、肩関節の安定性と動きを支える重要な構造物です。
- 石灰沈着性腱板炎
- 原因: 腱板にカルシウムが沈着し、炎症が起こります。
- 解剖学的な関連: 腱板にカルシウムが沈着することで、腱板が厚くなり、周囲の組織を圧迫します。
日常的に「肩関節の痛み」として現れるのが、「肩関節周囲炎」と呼ばれる整形外科疾患です。
肩関節周囲炎と筋‐筋膜
との関係について
肩関節周囲炎と筋‐筋膜の硬さ
肩関節周囲炎、いわゆる四十肩、五十肩は、肩関節の痛みと可動域制限を特徴とする疾患です。従来、加齢に伴う組織の変性が主な原因と考えられてきましたが、近年では、筋筋膜の慢性的な緊張や硬さが、肩関節周囲炎の発症や悪化に大きく関与しているということが注目されています。
肩関節周囲炎の解剖学的な説明
肩関節周囲炎では、関節を包む「関節包」や周囲の「筋肉、筋膜」が慢性的に炎症を起こし、癒着を起こす事で、肩関節の動きの制限共に、強い痛みが引き起こされます。
硬くなる筋肉
肩関節周囲炎で硬くなりやすい筋肉は、主に以下の通りです。
- 肩甲骨周囲の筋肉: 三角筋、僧帽筋、肩甲挙筋、菱形筋など。これらの筋肉が硬くなると、肩甲骨の動きが制限され、肩関節の動きに悪影響を及ぼします。
- 上腕の筋肉: 上腕二頭筋、上腕三頭筋など。これらの筋肉の緊張も、肩関節の動きを制限する要因となります。
- 胸部の筋肉: 大胸筋、広背筋上部、前鋸筋など。これらの筋肉が緊張すると、肩甲骨が前方に引き込まれ、巻き肩となり、肩甲骨が外に移動し(肩甲骨の外転変位)、肩関節の動き(特に肩関節の屈曲 / 外転 / 内旋)が制限されます。
肩甲骨の動きが悪くなると、肩関節に負担がかかる理由
肩甲骨(肩甲胸郭関節)は、腕を動かす際に、上腕骨と協調して動く重要な骨です。肩甲骨が自由に動けないと、肩関節(健康上腕関節)に過度の負担がかかり、痛みや可動域制限を引き起こします。
猫背と肩関節の関係
猫背姿勢は、肩甲骨が前方に引き込まれ、胸椎が丸まる状態です。この姿勢では、肩甲骨周囲の筋肉が常に短縮位/もしくは延長位に位置し、リラックスポジションから逸脱することで、過緊張となり、肩甲骨の動きが制限されます。結果として、肩関節に過度の負担がかかり、肩関節周囲炎の発症リスクが高まります。
ロルフィングによる改善
ロルフィングは、深層筋膜を調整することで、身体全体のバランスを整える手法です。肩関節周囲炎に対しては、肩甲骨周囲の筋肉の緊張を緩め、猫背を改善する施術を体の深層部全体に行い、肩甲骨の動きを改善させます。結果として、肩関節の負担を軽減し、痛みを改善することが期待できます。
ロルフィングによる改善点
- 筋膜のリリース: 癒着した筋膜を開放すことで、筋肉の動きをスムーズにします。
- 姿勢の改善: 猫背などの不良姿勢を矯正し、身体のバランスを整えます。
- 深層部の調整: 深層筋の緊張を緩め、身体全体のバランスを整えます。
まとめ
肩関節周囲炎は、単に肩関節の炎症だけでなく、全身の姿勢や筋肉のバランスと深く関わっていることが分かります。ロルフィングのような深層部の調整を行うことで、肩関節周囲炎の根本的な改善が期待できます。
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