猫背/反り腰-不良姿勢と
インナーマッスル、筋膜、呼吸の複雑な関係性
「肩がいつも鉛のように重く、頭痛も頻繁で仕事に集中できない…」
そんな慢性的な肩こりに悩む日々。。。
もしかしたらその原因は、単なる肩周りの問題ではなく、日々の「姿勢」という土台の歪みに深く根ざしているかもしれません。
実は、不良姿勢は体の奥深くにあるインナーマッスルや全身を覆う筋膜、そして生命維持に不可欠な呼吸にまで悪影響を及ぼし、複雑に絡み合いながら肩こりを引き起こす主要な要因となるのです。
その関係性を【7項目】見ていきたいと思います。
1 肩こりと姿勢の切っても切れない関係
私たちの体は本来、背骨が緩やかなS字カーブを描くことで、頭の重さを効率的に分散し、最小限の筋力でバランスを保てるように設計されています。
しかし、現代社会における長時間のデスクワークやスマートフォン操作などの習慣は、この自然な構造を歪め、猫背やストレートネックといった不良姿勢を慢性化させがちです。
猫背:
背中全体が丸まり、肩が内側に巻き込まれ、頭が体の中心線よりも前方に突き出した姿勢です。
例えば、デスクワークで長時間パソコンの画面に集中していると、無意識のうちに背中が丸まってしまいます。
この状態では、本来であれば体幹で支えるべき頭の重さを、首や肩の筋肉が常に過剰に負担することになり、筋肉の慢性的な緊張と血行不良を招きます。
ストレートネック:
本来、首の骨(頸椎)が緩やかな前弯カーブを描いているのに対し、スマートフォンを長時間下向きに見るなどの習慣により、このカーブが失われ、首の骨がほぼ真っ直ぐになってしまった状態です。
この状態では、首の筋肉が常に頭の重力に抗う必要があり、首や肩への負担が著しく増大します。
2 体の歪みが引き起こす筋肉への不均等な負荷
骨盤の歪み:
骨盤は体の土台であり、そのわずかな傾きや左右の高さの違いが、背骨全体のバランスを大きく狂わせます。
例えば、足を組んで座る癖のある方は、骨盤が左右に傾きやすくなります。
骨盤が歪むと、背骨はそれを補正しようとして不自然な弯曲を生み出し、特定の筋肉に過剰な負荷がかかり、肩や首の筋肉にも悪影響を及ぼします。
背骨の歪み:
背骨は、正面から見るとほぼ真っ直ぐですが、横から見ると緩やかなS字カーブを描いています。
しかし、重い荷物をいつも同じ側の肩にかけるなどの偏った負荷や、不適切な姿勢の継続は、背骨を側弯させたり、本来のS字カーブを過剰にしたり、逆に消失させたりする原因となります。
このような背骨の歪みは、全身の筋肉のバランスを崩し、肩や首の筋肉に過剰な負担を強いることになります。
3 筋肉の過剰な緊張と深刻な血行不良
不良姿勢を長時間続けると、特定の筋肉は常に伸張されたり、収縮したりといった不自然な緊張状態に置かれます。
例えば、猫背の場合、首の後ろ側の筋肉や肩の筋肉は常に頭の重さを支えようとして過剰に緊張し、硬くなります。
筋肉が慢性的に緊張すると、その内部を通る血管が物理的に圧迫され、血液の流れが著しく悪くなります。
血液は酸素や栄養を運び、老廃物を除去する役割を担っているため、血行不良は筋肉への酸素不足と疲労物質の蓄積を招き、肩や首の凝りの根本的な原因となります。
4 神経への直接的な圧迫による痛みや痺れ
不良姿勢は、骨格の歪みを引き起こし、その結果として神経を直接的に圧迫し、痛みや痺れといった神経症状を引き起こすことがあります。
例えば、ストレートネックの状態では、首の骨と骨の間から伸びる神経が圧迫され、後頭部や首筋の激しい頭痛、腕や手の痺れといった症状が現れることがあります。
特に、首や肩周りの神経は、肩こりだけでなく、様々な関連痛や神経症状を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
5 インナーマッスルの機能低下
体の深層部に位置するインナーマッスルは、表層の大きな筋肉とは異なり、主に姿勢の維持や体の安定性という非常に重要な役割を担っています。
不良姿勢が慢性的に続くと、このインナーマッスルが適切に機能しなくなり、体のバランスが崩れてしまいます。
本来、インナーマッスルが活発に働くことで、背骨や椎間板、そして背中の表層にある筋肉への負担は約50%も軽減されると言われています。
インナーマッスルの機能低下は、体全体の安定性を失わせ、結果的に肩や首の筋肉に過剰な負担をかけ、肩こりを悪化させる要因となります。
これらの要因が複雑に絡み合い、まるで連鎖反応のように積み重なることで、姿勢が悪い状態が続くと、肩こりはますます慢性化しやすくなるのです。
6 不良姿勢と筋膜の硬さの悪循環
筋膜とは、筋肉や内臓といった組織をインターネットのように全身に張り巡らされながら包み込む膜状の結合組織であり、体のあらゆる動きを滑らかにするための重要な役割を担っています。
しかし、不良姿勢を長時間続けると、特定の筋肉や筋膜には常に過剰な負担がかかり、その結果として筋膜が硬く柔軟性を失いやすくなります。
硬くなった筋筋膜は、筋肉の動きを物理的に制限し、関節の可動域を狭め、さらに姿勢を悪化させるという悪循環を生み出します。
良い姿勢を意識し、保つことは、この筋筋膜への不必要な負担を軽減し、本来の柔軟性を維持するために非常に重要なのです。
7 姿勢と呼吸の浅い関係
姿勢と呼吸は、私たちが意識する以上に深く関連しています。
猫背のように背中が丸まった不良姿勢では、胸郭が圧迫され、肺が十分に拡張することができず、結果として呼吸は浅く短くなりがちです。
浅い呼吸は、体内に十分な酸素を取り込むことができず、全身の酸素不足を招き、筋肉の慢性的な緊張や疲労感を増大させる要因となります。
一方、良い姿勢を保つことで、肺は最大限に拡張することができ、深く効果的な呼吸が可能になります。
深い呼吸は、自律神経のバランスを整え、心身のリラックスを促し、筋肉の緊張を緩和する効果も期待できるため、肩こりの改善にも繋がります。
姿勢が悪くなる理由
姿勢が悪くなる理由は、単なる個人の意識の問題ではなく、現代人の生活習慣やを取り巻く環境に深く根ざしています。
長時間同じ姿勢での作業
デスクワークやスマートフォン操作など、筋肉の疲労や硬直を引き起こし、姿勢の悪化につながります。
特に、パソコン画面を覗き込むような姿勢や、スマートフォンを長時間下向きに見る姿勢は、猫背やストレートネックの原因となります。
運動不足
運動不足は、筋肉の衰えや柔軟性の低下を引き起こし、姿勢を維持する力を弱めます。
特に、インナーマッスルの衰えは、体の深部から姿勢を支える力を失わせ、体の歪みや猫背を招きます。
アンバランス
特定の筋肉ばかり使い、他の筋肉をあまり使わないと、筋力のバランスが崩れます。
例えば、腹筋が弱いのに背筋が強いと、体が丸くなり、猫背になりやすくなります。
柔軟性の低下
筋肉や関節の柔軟性が低下すると、正しい姿勢を維持することが難しくなります。
特に、股関節や肩甲骨周りの柔軟性が低下すると、体の歪みや猫背の原因となります。
定期的なストレッチを心がけましょう。
負荷の一定化
足を組んで座る、いつも同じ側の肩に荷物をかけるなど、日常生活での習慣も姿勢の悪化につながります。
これらの習慣は、体の歪みを引き起こし、特定の筋肉に負担をかけます。
ストレス
精神的なストレスは、筋肉の緊張を引き起こし、姿勢の悪化につながることがあります。
特に、ストレスを感じると、肩や首の筋肉が緊張し、猫背やストレートネックになりやすくなります。
環境要因
合わない椅子や机、高さの合わない枕など、環境的な要因も姿勢の悪化につながります。これらの要因は、体に負担をかけ、無意識のうちに姿勢を崩してしまうことがあります。
これらの理由が複合的に重なることで、姿勢は悪化していきます。
姿勢の悪化は、肩こりだけでなく、腰痛や膝の痛みなど、様々な不調を引き起こす可能性があります。
日常生活の中で、これらの要因に注意し、正しい姿勢を意識することが大切です。
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